MLM失敗体験談第6話
MLMで破滅した話は、意外と静かに始まった
MLMで破滅した──なんて聞くと、騙されたとか、警察沙汰になったとか、派手な騒動を想像されるかもしれません。
でも、僕が経験したMLMの失敗は、もっと静かで、あっけないものでした。
ある朝、コンビニでコーヒーを買おうとして、レジで言われたひと言。
「残高不足です」
…その瞬間、「あ、もうダメだな」と、心の中でそっと終わったんです。
勧誘じゃなく「背中を見せたかった」僕の限界
ずっと考えていました。
どうすれば、無理なく人を巻き込めるか。
どうすれば、誰かに「やってみたい」と思ってもらえるか。
だから僕は、勧誘という形ではなく、自分の背中を見せることで伝えたかった。
商品を活用し、旅を楽しみ、自分が理想的なライフスタイルを実現することで、自然と興味を持ってもらいたかったんです。
でも、いざ行動に移そうとした時には、すでに僕の資金が底をついていた。
旅行パックは使いたくても、参加できるスケジュールは限られ、追加料金がかかるプランばかり。
何より、旅費の数万円すら出せない現実に、僕は直面していました。
背中どころか、自分の足元すら立っていられなかったのです。
仲間から届いた「終わり」の知らせ
そんな時、数ヶ月ぶりに連絡をくれた仲間が言いました。
「ねえ、あの会社、もうヤバいらしいよ。私撤退するわ」
話を聞いてみると──
インフルエンサーたちへの高額な報酬が、経営を圧迫しているという噂。
報酬の支払いが追いつかず、組織全体が傾いていると。
僕は静かに話を聞きながら、
「ついに来たか」と、どこか他人事のように感じていました。
なぜなら、その時の僕はすでに、資金も気力も使い果たしていたからです。
まあ、僕はまだマシだったのかもしれません。一応キャンセルはできて、これ以降支払いしなくても済んでいるので。。世の中にはそれすらできていない組織もあるとも聞くので、本当だとしたらまじで恐ろしいです。。。
インフルエンサーは「消えて」いた
そして、その頃には僕を最初にこのMLMに誘ったインフルエンサーの姿は、どこにも見当たりませんでした。
SNSは更新が止まり、YouTubeチャンネルも非公開。
検索しても出てこない。
あれほど華やかに人を惹きつけていた人が、
まるで最初から存在しなかったかのように、ネット上から消えていたのです。
MLMの本当の恐ろしさに気づいた瞬間
ここで冷静に考えてみると、こう思えてくるんです。
「もしかしたら、この組織はまだマシだったのかもしれない」と。
前社長やトレーナーは、いまもInstagramで活動を続けています。
警察沙汰にもなっていないし、捕まってもいない。
お金も、追加徴収とかは、なくて、会社が単純に潰れた。
表面的には、まだ“まとも”に見える。
そして、あのインフルエンサーも──
2025年には新たに「クルーザービジネス」を始めたとSNSで見ました。
つまり、やっていたことが完全な“嘘”だったわけではなかった。
本当に報酬を得ていたし、本気で夢を語っていたのかもしれない。
でも、それでも僕はこう感じたのです。
──だからこそ、MLMは恐ろしい。
誰も悪人ではなくても、誰かが破滅する。
その構造こそが、MLMの一番の罪深さだと。
大金を自分に引き寄せたいのに、なぜか他人に払っていた
僕は、自分で稼げるようになりたかった。
夢を叶えるためには、大きなお金が必要だと思っていた。
でもその大金を、僕は毎月「維持費」や「教材費」として他人に支払っていたんです。
大金を自分に入らせないといけないのに、
その大金を他人に払っているという、
誰でもわかりそうな矛盾に気づけないほど、僕は追い込まれていたのです。
それが、今なら笑えるような、でも当時は必死だった、僕の現実です。
【まとめ】ぶっ飛んだ夢を追うときに、忘れてはいけないこと
夢を見ることは、素晴らしい。
でもその夢に執着しすぎると、「それっぽい話」に心が揺れてしまう。
MLMはそこに本当に刺さりやすいんです。だから近寄っちゃいけない。
そういう会社が存在していても、今回のように簡単に潰れて逃げられてしまう。
僕はただ、自由が欲しかった。
自分を変えたかった。
そのためなら努力もするつもりだった。
でも、焦っていたんです。
焦りと欲望で視界が曇ると、「それっぽい希望」を掴もうとしてしまう。
それが、MLMという“もっともらしい成功ルート”だったんです。
ただ──
ここでようやく学び終えた…と思いたかったのですが、
残念ながら、この時点ではまだ僕の“気づき”は足りていませんでした。
このあと僕は、
さらに別の場所で、もっと大きな失敗をやらかすことになります。
詳しくは、**次章「資産家秘書編」**で語っていますので、
よかったら、そちらも読んでみてください。
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