はじめに
2023年の春、僕は41歳にして**2度目の「一文なし」**状態でした。
情けない話ですが、財布の中は本当にすっからかん。
「もう一度立て直すためには、正社員として働き直すしかない」と腹をくくり、就職活動を始めました。
――が、正直に言います。
入社すらしていないのに、心がボロボロになるほど削られました。
この記事は、「会社選びを失敗した」とか「入社後につらかった」みたいな話ではありません。
もっと手前の、就職活動そのものの段階で僕が犯した失敗とやらかしについての話です。
「やる気さえあれば大丈夫」だと思ってた過去の僕、出てこい
就活を始める前、僕は本気でこう思っていました。
「いやいや、20年近くエンジニアやってきたんだし、どこかしら拾ってくれるやろ」
……はい、現実を甘く見ていました。
書類は通らない。通っても面接で落ちる。
しかも、40代というだけで「年齢層が合わない」と言われることもザラです。
この時点で、「あれ? 再生どころか“人生ゲームオーバー”に片足突っ込んでない?」と、じわじわ焦りが出てきました。
面接という名の「短期離職審問会」
ようやく面接までたどり着いたと思ったら、ほぼ全員が開口一番こう聞いてきます:
「短期離職が多いようですが、理由を教えてください」
いや、そりゃあるんですよ。
人間関係が地獄みたいな現場だったとか、仕事内容が求人票とまるで違ったとか、命まで危なかった出来事があったとか。
でも、それを正直に話せば話すほど空気が凍るんです。
面接官の目が「この人、またすぐ辞めそうだな」と言っているのがわかる。
「じゃあ言わないほうがいいのか?」と思って、当たり障りない“建前”で話すと、今度は自分が自分じゃなくなっていくような気持ち悪さが残る。
本音で落とされ、建前で自分を嫌いになる。
これが毎週のように繰り返されるんだから、心が削られないわけがありません。
「選ばれない自分=価値がない」と錯覚していく
不採用通知が増えるたび、最初は「まあ仕方ない」と思えていたのが、だんだんと変わっていきました。
- 「僕ってそんなに使いものにならないのか?」
- 「もう誰にも必要とされないのか?」
- 「再生どころか“再起不能”なんじゃないか?」
気がつけば、**就職活動が“未来を選ぶ手段”ではなく、“自分の価値を測る試験”**みたいになっていたんです。
企業に選ばれないたびに、自分の存在そのものが否定されたような気がして、履歴書を書く手が重くなる。
これ、マジで精神にきます。
「派遣=悪」という思い込みが壊れた瞬間
そしてこの時期、僕の中で一つ大きく崩れた価値観がありました。
それが「派遣=悪」だという思い込みです。
就職活動を始めた頃の僕は、「正社員にならなきゃ意味がない」「派遣は“負け”」と勝手に決めつけていました。
派遣なんて、生活が苦しくて仕方なくやるもの――正直、そんな偏見すら持っていたんです。
ところが、200社近くエントリーして全滅したあと、とある派遣会社さんから入社オファーが届きました。
その条件を見て、目を疑いました。
👉 年収600万円、月の基本給36万円。
「え、派遣って、こんな条件あるの?」と、本気で驚きました。
しかも、そのあと派遣社員として働きに行った自動車メーカーの現場では、僕より月給が低い正社員さんが普通にいたんです。
そして最終的に、僕が内定をお受けした派遣会社の条件はさらに上をいきました。
👉 月の基本給40万円、家賃は半額補助、引っ越し代まで会社負担。
ここまで来るともはや、派遣先の正社員待遇を凌駕していました。
“派遣は正社員の下位互換”という思い込みは、この瞬間、完全に崩れ去りました。
「正社員じゃなきゃ再生できない」と自分で勝手に道を狭めていたのは、他でもない僕自身。
派遣という選択肢を視野に入れた途端、再生へのルートは一気に開けたんです。
今だからわかる「就職活動の落とし穴」
今振り返って思うのは、当時の僕は完全に**「選ばれる側」に縛られていた**ということです。
「どうすれば受かるか」「どう見せれば評価されるか」ばかりを考えすぎて、“僕がどう生きたいか”という軸が消えていた。
そりゃ、心も折れますよね。
本当は、就職活動って「企業が選ぶ」だけじゃなく、「僕が選ぶ」側面もあるはずなんです。
でもあの頃の僕は、「お願いします!拾ってください!」とすがることしかできませんでした。
まとめ:「選ばれなかった=ダメ」じゃない
あの頃の僕に、今の僕からひとこと言えるならこうです。
「選ばれなかったからって、お前の価値がゼロなわけじゃないぞ」
就職活動は、再生へのスタート地点。
でも“受かること”だけを目的にしてしまうと、再生どころか、自分自身を見失う危険な沼にもなります。
再生の第一歩は、「内定」じゃなくて、「自分を嫌いにならないこと」。
そして、「派遣はダメ」というような思い込みを手放すこと。
この地獄みたいな就活期間が、今となっては僕にそう教えてくれました。


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