死ぬほどカッコいいよね、プロ野球選手の「ホームラン」
ホームランって、死ぬほどカッコいいですよね。
僕なんか、中継で見てても現地で観てても、あの「カキーン!」という音が起き、続いて何万人もの大声援とともに白球がスタンドに吸い込まれていく瞬間に、何度でも鳥肌が立ちます。
しかも、それが満塁ホームランともなれば、もう、得も言われぬ感動に。
そんな劇的な展開を目にすると、つい思ってしまうんです。
「いつか俺も、一発で人生を逆転してやる!」
……ええ、40歳を過ぎた今でも、そんな子どもみたいな夢を追っていたんです。
そして現実では、空振り三振どころか、バットごと折ってベンチ裏に担架で運ばれるレベルの大失敗をやらかしました(笑)
ホームランバッターに憧れる源泉は「承認欲求」
正直に言うと、僕がホームランに憧れていたのは、「一発で勝負を決めるのがカッコいいから」だけじゃありません。
もっと根っこの部分には、承認欲求がありました。
だって、7番や8番の地味なヒットよりも、主砲のホームランのほうが圧倒的に注目されるじゃないですか。
「この人がいたから勝てた」とか、「やっぱり○○選手はすげぇ!」って言われるのは、だいたいホームラン打った人です。
そしてあの一振りで、大人が泣くほど感動する瞬間が生まれるのも事実。
そんなシーンを何度も目にするたびに、僕の中の子どもみたいな心が「俺もああなりたい」とザワついていたんです。
……はい、40歳を過ぎても承認欲求まみれのオジサンです(笑)
そしてこの承認欲求こそが、僕を“人生の逆転ホームラン”という幻想へと駆り立てていきました。
報われない20代・30代が、逆転への憧れを育てた
話を僕の20代、30代に戻すと、それはもう報われなさ選手権に出られるレベルの日々でした。
1社目の会社では、何年たっても誰かに怒られ、他部署からは文句を言われ、客先にはペコペコ頭を下げて「うちはちゃんとやってますよ」みたいな顔をして取り繕う。
うまく立ち回る人は上手にストレス源と距離を取りながらやっていましたが、僕はまったくダメで、毎回壁にぶち当たっては失敗し、痛い思いをして少しだけ上に行く…そんな生活の繰り返しでした。
当然、それほど報われるわけもなく、ストレスはどんどん蓄積。
結果、うつ病やパニック症候群にもなり、心までボロボロになっていきました。
ストレス発散法といえば、同じような境遇の同僚や後輩との「愚痴飲み会」だけ。
もはやそれが唯一のガス抜き手段で、ビール片手に「次こそ報われたいよなぁ」と言いながら、同じ場所をグルグル回っていたんです。
命を削っても報われず、「限界」を感じた
給料も、もちろん少しずつは上がっていました。
34歳の時点で年収800万円を超えましたが、その当時の月収は36万円だったので、長い目で見れば1年に付き1万円、月給が増えた程度なので、まあ誤差みたいな伸びです。
それはつまり、「お前の価値なんてこの程度だ」と毎月言われているようなもの。
そのチリツモが心に積み重なって、「これじゃあ夢のポルシェなんて一生届かないじゃないか…」という絶望に変わっていきました。
僕はうつ病やパニック症候群、突発の不整脈などの病気になりましたが、それでも1社目は14年続けてきました。
F1レーサーやGPライダーが命がけだと言われますが、僕だって命を懸けて働いてきたし、過労で亡くなった同僚だって見てきた。
それなのに、手に入ったのは月36万円の給料と、当てになるかどうかもわからないボーナス。
世間的には「もらっている方」かもしれないけど、命の対価としてはあまりにも軽く感じていたのです。
「命の値段って、この程度なのか…」
心のどこかで、そうつぶやいていました。
ホームランが打てない僕は、札束でスイングし始めた
そんな中、「このままじゃ人生終わる」と焦り始めた僕は、ついにお金でホームランを打とうとし始めました。
まず手を出したのは高級車。
フォルクスワーゲンのスポーツタイプの車を買い、大切にしていましたが、その維持費用を惜しげもなくつぎ込み続けます。
ところが、そこから坂道を転がり落ちるように欲望が加速していきます。
だらしない生活のせいでみっともなく出てきた腹に気づき、「この腹じゃかっこよく乗りこなせない」と今度はエステへ。
でも痩せたら痩せたで、いろんな洋服を着こなせるようになった。
「もっと高級な服を着こなしたい」
「車もワンランク上にしたい」
と新たな欲が湧き、さらに散財を重ねていきました。
結果、ローン返済だけで手一杯。
年収800万円あっても1円も貯金ができない現実に、あっという間に行き着きました。
それでも諦めきれなかった僕は、今度は「どうすれば手っ取り早くお金を増やせるんだろう?」という思考にハンドルを切ります。
──そして、仮想通貨へ手を出し、次にMLM(マルチ商法)へと踏み込みました。
運用費を払い続けるためにさらにお金が必要になり、「もっと変わらなきゃ…」と、ついには1社目の退職金をまるごとFXスクールにつぎ込むという禁断の一手まで打ちました。
……ええ、この時点でもう、ホームラン狙いなんてレベルじゃありません。
バッターボックスに卓球のラケットを持って予告ホームランを出しているようなヤベエ奴になり果てていたんです。
失敗し尽くして、ようやく一周回って見えた景色
この先の話(=本格的な破滅の記録)は、ほかの記事で散々書き倒しているので、ここでは多くを語りません。
※「暗号資産編」「MLM編」「FX編」など、あの地獄のような記録たちはそちらでご覧ください(笑)
ここで伝えたいのはただ一つ。
あれだけ失敗して、二度も“人生終了”みたいなところまで落ちたからこそ、今は自分の人生を一歩引いて見られるようになったということです。
そして今、僕は今更気付くのですが
逆転ホームランを狙い続ける人生は、ほぼ確実に三振で終わるということを。
コツコツの延長線上にしか、ホームランはない
ここまでの僕の人生は、「一発逆転だ!」と叫びながら空振りし続けた40年でした。
「一振りで人生を変えてやる」と夢見て、ことごとくバットを折り、バットから何故か卓球ラケットに持ち替え、試合からも追い出されていたようなものです。
でも、一周回った今だからこそ、はっきりわかります。
ホームランって、“狙ってすぐに出る”ものじゃないんですよ。
大谷翔平選手も、僕の好きな佐藤輝明選手も、「今思い立ったから今日からホームランバッターになります」なんて世界にはいません。
地道な練習と積み重ねの延長線上で、ようやくあの一発が出ているんです。
人生もまったく同じで、単打でもいいから出塁して、走者をためて、積み重ねていった先に「ここで一発出れば逆転できる」という状況が自然とできあがる。
そのとき、ようやくホームランが“出る”んです。
僕も今、ようやくそれが分かってきました。
失敗に失敗を重ねて、「もう逆転なんて無理じゃないか」と諦めかけた僕でしたが、「まずは100万円だけ貯めてみよう」と決めて、小さな一歩を踏み出したんです。
そしてその100万円を貯めたとき、初めて心の底からこう思えました。
「今までの失敗を認めて、同じ轍を踏まないよう、誰かの役に立つ記事を書こう」と。
少しでもまとまったお金が出来たとき、新たにできるのが「選択肢」だと僕は認識しました。だから、引っ越ししてでも6社目に転職し、前社よりも豊かに生きていけているわけです。
Youtuberで例えると、最近登録者100万人になった、人気Youtuberの動画を久々に見てみたのですが、彼らだって、何年も続けて貫き通して、ようやくその立場になった人間が本当に多数。みんな継続してやっと成功にたどり着いている。だからせめて僕がおなじように継続して誰かの役に立てるのなら何か?を考えたときに、誰よりも多く失敗経験があるという強み(?)を使おうかと。
ホームランは、まだ打てていません。
でも、僕はようやく“バットを握って素振りを始めた”ところです。
いつかスタンドに届くその一発を信じて、まずは打てるようになるまで、地味でもコツコツと続けていこうと思っています。
──あの100万円を、やっとの思いで貯めた今の僕のように。
同じ轍を踏んでほしくない
僕は、散財しまくって、借金まみれになって、2回も“人生終了”みたいな状態になって、ようやく気づきました。
「逆転を狙ってはいけない」って。
逆転ホームランを打つよりも、怠惰な生活を改めて少しずつでも「負け」を減らしコツコツ生きていく方が簡単で確実なんです。
そして今この記事を書いているのは、同じ轍を踏んでほしくないからです。
あの頃の僕のように、「一発逆転のチャンス」に人生を賭けてほしくないんです。
派手なホームランを狙うよりも、まずはバットを握って、出塁する練習から始めましょう。
それが回りくどいようで、結局いちばん早い“人生の逆転劇”への近道です。


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