世界を飛び回った先に見えた“結果ゼロ”|仲間は増えた、でも売れない

MLM失敗体験記 第4話


世界を飛び回る毎日。でも、結果が出ない。

MLMに本気で取り組むと決めてから、僕は世界中のセミナーに参加するようになりました。
タイ、マレーシア、シンガポール、韓国――。航空券を買い、ホテルを取り、現地でスーツを着て、笑顔で会場に向かう。
周りは仲間ばかり。「信じて突き進めば未来が変わる」と本気で思っていました。

確かに、仲間は増えました。
SNSでつながり、Zoomで語り、励まし合いながら頑張っている“つもり”でした。


だけど、足元はまったく動いていない。

大学の同級生、元同僚、マッチングアプリで知り合った人。
会場に連れてきたこともある。でも、誰もやらない。誰も続かない。
僕が始めてから数ヶ月、新規ダウンライン:0

変わったのは、SNSの投稿内容と、増え続ける借金だけでした。


仲間は、少しずつ結果を出し始めていた。

ここが、一番きつかった。
同じように頑張っていたはずの仲間が、少しずつ成果を出し始めていたんです。

「今日、新しいメンバーが増えました!」
「商品を紹介したら喜んでもらえた」
そんな投稿が増えていく中で、僕のLINEには、何の通知も来ない。

僕だけが、ずっと0のまま。

どんどん焦りました。
夜中に眠れなくなり、「成功する人の特徴」なんて記事を必死で漁っていました。
でも、読めば読むほど、「自分には無理かもしれない」が強くなっていく。


やり方が悪いのは、わかっていた。でも…

「やり方間違ってるよ。わかってないね。」
「もっと魂を込めて話さないと伝わらないよ」
「売れてないってことは、やり方が違うってことだよ」

そんな言葉は山ほどもらいました。そんなことぐらい解ってる!と。
だけど――**じゃあ、どうやればいいのか?**は、誰も教えてくれなかった。

後に気づくのですが、そんな定型文やパターンなんてないんです。それを理解できていなかった。

僕が知りたかったのは、「0→1の方法」だったのだが、そんなものこそすぐに結果の出るものはない。特にこういう、人のスイッチを押す、人を変える物事というのは、基本は自分でできない。相手の立場に立って相手の役に立てるような所作振る舞いができていない人間には、ついていこうとも、仲間になろうとも思わないんですよね。

例えば僕の大好きなYoutuberの気まぐれクックさんも、最初はおばあちゃんのお宅から家族みんなで何年も何年もかけて努力されて(と思いますよ)やっと今、登録者が1000万人オーバーになっている。魂込めて何かをやるって時間がかかるんです。

一歩引いた今、こういうことが見えてきたんですが、当時は本当に焦っていて何も見えていなかったんです。


焦っていた。だって、毎月10万円が出ていく。

とはいえ、まずい。時間がない。焦っている僕です。

5店舗分の代理店権利を購入した僕には、月10万円の維持費が発生していました。
売れてないのに、毎月、自動でお金が出ていく。

そのために本業で残業を増やして、時間を削って、疲弊して…
でも、残業を増やせば、MLMの活動時間は当然減ります。

働くために働き、働くせいで「自由のためのビジネス」ができない。

自分でも、何をやってるのか分からなくなっていました。


そして、あのセミナーで絶望する。

僕はある決意をもって会社を1週間、休むことにしました。

こんなに長い休みを取ったのは、うつ病になったときにもない、14年務めて初めてのことです。

(というか、その2か月後に辞める、という事を決意までして)

僕ははるばる、ドバイまで飛び、同じくMLMをしている世界中のメンバーとともに5日間缶詰の自己啓発セミナーを受けに来ました。

✈チケット:25万円。ホテル代 3泊で3万円 (夏だったのでシェラトンでも奇跡の安値。助かった)

日々の食事代は、1日当たり1万円ほどしました。

当時の僕には「命がけの出費」

臨んだ自己改革日々にする!と決めていました。


華やかな音楽と照明、拍手と笑顔で始まるも

毎日毎日、AM9時~翌AM4時まで缶詰でプレゼンとワーク漬けです。
そんな中、トップリーダーが壇上に立ち、こう言いました。

「こんなにいい商品、まさか1件も売れてないとかないよね?」

「売れてない人、挙手!」僕をはじめ日本人の多くが手を挙げた。

「ちょっと、信じられないよ!1件ぐらい売ってから来なよ」

僕には、その言葉が地獄の入り口の案内板にしか聞こえませんでした。

0→1を作りたくて。
今回35万円も払って来ていた。
それでも返ってきた言葉は、「それぐらいやってから来い」。

――心が折れました。


でも、やめなかった。やめられなかった。

戻りたくなかったんです。
あの、ため息が1分に1回以上聞こえてくるようなオフィス。
人の目を気にして資料を修正するだけの会議。
「今日も定時まで何とか耐えるか…」が口癖のあの空気。

僕は、もうあの生活には戻らないと決めていた。

友達には「ヤバいやつ」って思われてるかもしれない。
でも、見返したかった。成功する姿を見せたかった。
本気でそう思っていた。

だから、続けた。
借金してでも。
時間を削ってでも。
心が削れていくのに、進み続けた。


第5話につづく。

世界を飛び回って、たくさん参加したセミナーで一生懸命勉強し、仲間はできた。でも、結果はゼロ
心も財布も削られて、時間だけが過ぎていく。
それでもやめない。やめられない。戻りたくないから。

そして次回。
僕はある行動に出ます。
それが、「終わりの始まり」になるとも知らずに――。

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