はじめに
FXって、どういうイメージを持っていますか?
何枚ものディスプレイを並べて、いくつものチャートを画面いっぱいに表示させ、目を血走らせながらタイミングを狙っている──そんな姿。
僕も、まさにそう思っていました。つい2年ほど前までは。
Pinterestで「投資部屋」と検索すれば、そんな画像が山ほど出てきます。正直なところ、今でも見かけるたびに「わー、かっこええなあ!!」って思ってしまいます。
そして僕も環境を整えました。ヨドバシカメラで「FX用のPCを」と伝え、ゲーミングスペックのPCと4Kモニターを2枚。白い天板に黒の細脚の160センチ幅デスク、8万円のPCチェアまで揃えたのです。──しかも、二度の一文無しを経た後に。はい、病気なのは認めざるをえませんね。笑
そんな意気込みを背負って挑んだFX。
でも結果は逆で、積極性こそがお金を溶かす燃料になったのです。
真剣にまじめに取り組むと、なぜ燃料になるのか?
僕がFXスクールで習い始めたとき、最初に触れたのは「インディケータ」でした。代表的なのは移動平均線。チャートに線を引いたときの感動は、今でも覚えています。
「この線の通りにトレードすればいいんだ!」
ごくシンプルなルールに従うだけで、少しずつお金が増えていく。
実際、習い始めて1週間ほどは勝てました。ドキドキしながら口座を開設し、ナケナシの10万円を入金。10万円=当時の僕にとっては残業30時間分、つまり時給3,500円に相当する大金でした。
それが、わずか10分で口座残高が1,000円増える。
もう感動でしかなかったのです。
最初は知識も経験もないからこそ、先生の言う通り素直に従う。すると不思議と勝てる。この「小さな成功体験」が、僕の積極性に火をつけました。
感情が前面に出てくる瞬間
ここからです。
コツコツと時間を割き始めることで、次第に「見返りを求める気持ち」や「チャンスを逃すまいという焦り」が生まれました。
「これだけチャートを見たんだから、どこかに必ずチャンスがあるはずだ」
そんな“自己中なマインド”が顔を出し、冷静さがどんどん失われていったのです。
そこで前面に出てきたのが「感情」でした。
僕は常勝トレーダーでもないので偉そうなことは言えませんが、今振り返るとここに大きな落とし穴があり、僕は見事にハマってしまったんだと断言できます。
実際、会社で過労で倒れて救急車で運ばれているときですら、スマホのFX画面を開いてトレードしようとしていました。今となっては笑い話ですが、あのときの僕は“感情に支配された積極性の塊”そのもの。病気の域に達していたと思います。
だけど、後から振り返ってみると、冷静さを欠いた行動ばかりがノートに残っていました。もちろん一生懸命取り組んだ自分なので、今はねぎらってあげたい気持ちもありますが──それと同時に、冷静さを失うことの恐ろしさを思い知らされました。
実際、そんな行動は無意味どころか自殺行為にすらなりかねません。長い目で見れば、FXをやらなかった人のほうがお金を増やしているケースも多々あるわけです。そっちの方が大半でしょう。なぜなら、そもそも負けがゼロだからです。
まとめ
ちなみに、僕が仕立てたあのPCは今でも現役です。時々FXをやることもありますが、今は口座に最低限(5万円程度)のお金しか入れていません。
「暇なときに相場を眺めて、水平線を引いて、もしそのタイミングに立ち会えたら軽くエントリーしてみる」──そんな程度の付き合い方です。お金が増えればラッキーくらいの気持ち。今では、それを“冷静さを保つ訓練”として使っています。
結局、僕のような個人トレーダーが、自分の意思で相場を動かせるわけではありません。兆単位の資金を動かせる存在ではない限り、自分はただの一粒でしかない。その認識を持てたとき、やっと冷静に論理的に相場を見られるようになりました。
ここで頭の片隅に置いておいてほしいのは──
FXに関しては積極的に動いただけで稼げるものとは限らない ということです。
FXを否定するつもりはありません。スマホやPCのボタンをポチッと押すだけでお金が増える可能性が少しだけあるのは事実です。ですが、積極的になる部分を間違うと、爆死します。
おすすめするわけでもないし、真剣にやるなと言うつもりもありませんが、取り組み方を間違ってはいけないということです。資金管理もせず命を削ってまで積極的にのめり込んだら2度死んだ、というのが情けない僕の失敗・末路です。
僕の失敗はその“実演”です。
どうか、あなたが同じ地雷を踏まないように。お金の価値、そしてそれで得られる幸せについて、ほんの少しでも立ち止まって考えてもらえたら嬉しいです。
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